金欠薬剤師のブログ

勉強の内容や、ツイッターで話題になってることを自分の考えとともに書いています。

インフルエンザの薬の話

前回に引き続き、今回もインフルエンザに関してまとめていきたいと思います。

薬剤師らしく(?)今回は薬に関して。

 

現在発売されている基本的なインフルエンザの薬は4種類。

飲み薬:タミフル®(一般名:オセルタミビル)

吸入薬:リレンザ®(一般名:ザナミビル)

    イナビル®(一般名:ラニナミビル)

点滴薬:ラピアクタ®(一般名:ベラミビル)

 

薬理作用は「ノイラミニダーゼの阻害」となっています。

ノイラミニダーゼを阻害することで何が起こるか?

インフルエンザウイルスを巻き散らさないようにする!

ウイルスを殺すわけではなく、増殖を抑える薬となっています。

増殖を抑える薬のため、ウイルスが増えすぎる前に投与する必要があるので症状発現後48時間以内の投与となっています。

効果はどうかというと・・・

 

タミフル®

2014年の論文:プラセボ(偽薬)との比較で、症状の出ている期間が平均16.8時間短縮。日数で比較すると、7日と6.3日の差@成人未成年の感染者では有意な効果が見られませんでした。

2017年の論文:20歳以下の人に限定して調査した結果、症状は平均17.6時間の短縮。中耳炎リスクが34%低下。

主な副作用@承認時:腹痛(6.8%)下痢(5.5%)嘔気(3.9%)

 

リレンザ®

2014年の論文:プラセボ(偽薬)との比較で、症状の出ている期間が0.6日短縮@成人

主な副作用@承認時:下痢(0.24%)発疹(0.13%)悪心・嘔吐(0.13%)嗅覚
障害(0.11%)

 

・イナビル®

日本国内での承認時:内服薬のタミフルとの比較データで、非劣勢が確認されたとされている。

2014年の報告:海外承認を目指したが、改善に関してプラセボとの有効性が認められないため、海外での承認は見送られた。ただ、ウイルスの排出量低下などは認めれている。(周りの人に移さなくなるという意味では有効?)

主な副作用:下痢(4.7%)悪心(0.8%)ALT上昇(0.8%)胃腸炎(0.7%)

 

ラピアクタ®

承認時Ⅱ相試験において、プラセボ比較で約22時間の主要7症状の消失時間短縮。Ⅲ相試験においてオセルタミビルと非劣勢が認められた。

主な副作用:下痢(5.8%)好中球減少(2.8%)蛋白尿24例(2.5%)@成人

      下痢(10.3%)好中球減少11例(9.4%)嘔吐(5.1%)@小児

 

 

調べれば調べるほど、薬を飲んでも変わらないんじゃないかと思ってしまいます。

ベネフィットだけでなく、リスクも考える必要があるので、効果と副作用を書いてます。

健康な成人の場合は病院にいってお金と時間と体力を使うより、家で寝てた方がいい気がします。

子供の場合は半日の症状緩和時間と、副作用を天秤にかけて良いほうを選択していくのがいいかな?看病の半日って大きい気がするし・・・

 

~~閑話休題~~

実は今年の5月から新しいインフルエンザの薬が出ます。

その名は「ゾフルーザ®(一般名:バロキサビル)」

www.npn.co.jp

作用機序が新しいとして注目されてます。

作用機序は「CAP依存性エンドヌクレアーゼ阻害」となっていて、細胞内に入ったウイルスが増殖しないようにするってことです。

殺すわけではないので、早めの服用がいいんじゃないかな?これは承認された後で確認したいと思います。

 

~基本的に取り上げもらえてない抗インフルエンザ薬

アマンタジンという薬がインフルエンザA型だけに適応があります。

薬理作用は「M2タンパク阻害薬」となっていて、細胞に入り込んで増殖しようかなってしたときに阻害をするものです。

結局は入ってきて増えるのを抑える感じです。

 

 

異常行動に関して、薬との関係は不明とされています@厚生労働省

www.mhlw.go.jp

 

となっています。ご参照下さい。

 

今日はここまで!

 

参考資料

タミフル添付文書:http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250021M1027_1_35/

リレンザ添付文書:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00046544.pdf

イナビル添付文書:https://www.medicallibrary-dsc.info/di/inavir_dry_powder_inhaler_20mg/pdf/pi_ina_1708_10.pdf

ラピアクタ添付文書:http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250405A1032_1_06/

日本感染症学会HPより:http://www.kansensho.or.jp/guidelines/110301soiv_teigen.html#n03

薬理作用まとめ:https://kusuri-jouhou.com/training-course/influenza8.html

2014年のタミフル有効性の論文:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14651858.CD008965.pub4/abstract

2017年の小児のタミフル有効性の論文:http://europepmc.org/abstract/med/29186364