前立腺がんについての勉強会
この前、卸さんが主催の勉強会で「前立腺がん」についてというのがありました。
薬物治療だけでなく、疫学的なものも含めた全般的な勉強会でした。
それについてのまとめです。
・前立腺がんの疫学
前立腺がんが増えているというのは「PSA検査(血液検査の項目であります)」で見つかりやすくなった為であるということもある。
がんとしての進行はゆっくりのため、昔は前立腺がんになったことも分からずに、他の病気でなくなる方も多かったのではないかといわれている。
進行がゆっくりで早期に発見できれば10年以上生きられる確立はほぼ100%!!
コレは他のがんとの大きな違い。
前立腺がんと前立腺肥大の違いは前立腺のどの部分で腫瘍が出来ているかどうかによる。
→内側部分(尿道に近い部分、ドーナツが前立腺だとすると、内側の穴の部分)で腫瘍が進行していると前立腺肥大となる。直腸診で触ると軟らかいらしい。
→外側部分(ドーナツで言うと穴の周辺でなく、その他の部分)で腫瘍が進行していると前立腺がんとなる。直腸診で触ると硬いらしい。
・前立腺がんの臨床症状
早期:無症状
局所の進行:頻尿・尿切れの悪化(この2種類は前立腺肥大と症状が似てる。)
血尿・血射精(前立腺がんで起こりやすい。内側部分の腫瘍だから)
転移について:骨に転移しやすい。リンパ節に転移すると下肢のむくみが出る。
・PSAについて
PSAが4を超えると前立腺関連の疾患が疑われる。
良性腫瘍(がんでない腫瘍)でも上昇する。ただし、PSA10以上でがん率50%、PSA100以上でがん率90%となっていく。
PSAのカットオフ値は年齢によっても変動する。
(50 ~ 64歳:0.0~3.0ng/mL,65 ~ 69歳:0.0~3.5ng/mL,70歳以上:0.0~4.0ng/mL)by前立腺がん診断ガイドライン
http://www.urol.or.jp/info/guideline/data/23_prostatic_cancer_2016.pdf
薬によっても変動が起こる
PSAを下げる薬:クロルマジノン(ルトラール®)、アリルエストレノール(パーセリン®)、デュタステリド(アボルブ®)、フェナステリド(プロペシア®)
PSAを下げる薬を服用中の場合、約50%下がっていると考える。ただし個人差がとてもある。
・治療などについて
転移性のものの場合は化学療法が第一選択としてとられる。
局所のみのがんの場合、期待余命(【平均寿命】-【実年齢】じゃないよ!)を考慮し治療を選択していく
治療方法としては【ホルモン療法】【放射線療法】などがある。
・ホルモン療法について
経口or注射による薬の治療がホルモン療法。他には前立腺やその周辺をとる外科的手術もある。
LH-RHアゴニスト(リュープロレリン、ゴセレリン)による治療の場合、投与直後、一過性の男性ホルモン上昇のSEがある。それを防ぐため、予防として抗アンドロゲン薬を1~2週投与することがある。
抗アンドロゲン薬:非ステロイド系として【ビカルタミド】【フルタミド】がある。
ステロイド系として【クロルマジノン】がある
フルタミドは腎機能に問題があると使えにくい。
クロルマジノンは使える奨励が限られている&肝機能に注意が必要。
上記2つの理由のためビカルタミドが使用されることが多い。
ただし、抗アンドロゲン薬が抵抗性になる場合もある(その場合、去勢抵抗性前立腺がんと呼ばれる)
そのとき使用するのが【エテンザミド】【アビラテロン】がある。
アビラテロンはステロイドとの併用が必要、ステロイドの投与意味としては【浮腫・血圧上昇の予防】とのこと。
以上が勉強会で話していて自分が気に留めたことになります。
ここで少し疑問がひとつ。
抗アンドロゲン薬を使用すると男性ホルモンが少なくなるため、勃起や射精がなくなるのではないか?
実際に抗アンドロゲン薬の副作用には勃起力低下@カソデックス®(一般名:ビカルタミド)がある。
しかし!勃起は脳による分泌物によって引き起こされる場合もあるので、絶対に勃起しなくなるということはなさそうです。
ただ、前立腺の作用が弱まるので、妊娠はしにくくなるかも?(前立腺液には精子が活発になるような作用があるみたい。)
だからといって、個人輸入して、男性用避妊薬として抗アンドロゲン薬を使用することはないように!骨密度低下やその他の副作用のほうが怖いからね?
上記のようなことを勉強会後にもんもんと考えていた自分は中学生みたいですな。
今日はここまで!
自分の勉強資料
前立腺がん 治療:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
http://www.urol.or.jp/info/guideline/data/23_prostatic_cancer_2016.pdf