金欠薬剤師のブログ

勉強の内容や、ツイッターで話題になってることを自分の考えとともに書いています。

褥瘡についての勉強会

今日は褥瘡の勉強会があったので、そのまとめを書いていきます。

今日の講師だった人は褥瘡ではすごい先生でした。

とても熱意のある講演会でした。

以下、今日のやった内容をまとめたものです。

 

褥瘡は直らない病気であるという先入観がある。

⇒治る疾患であると観念を変えたのは薬剤師の介入をした結果。そのメソッドが詰まっているものが「古田メソッド」

 外用薬を正しく使うとことで、患者の予備能力にかかわらず、直すことが出来る。

・褥瘡の病態は表面的に見るのではなく、出来た過程も考える必要がある。

・外用薬は薬効成分の前に、基材(軟膏の硬さなどを決めるもの)の特性を考えて選択する必要がある。

・薬剤師は外用薬の使用方法を説明することを厚生省の2014年の通知で言われている

患者に対して使用するのは使用方法指導として、医行為に当たらない。よって、薬剤師が行ってOK!ただし、壊死組織のデブリは医師へ依頼を。

・栄養状態が悪くなると褥瘡は出来やすくなる。特にBMI値が低いと褥瘡発現頻度は高くなる。骨との間隔が薄くなり、皮膚も薄くなるため。

⇒ただし、栄養を改善することで褥瘡が治るかどうか不明。栄養改善による効果は長期であり、その前に外用薬をしっかり使用することで治ってしまうため。

病態を見てから、薬剤選択をする必要がある。薬剤選択のため、病態アセスメントは必須。

褥瘡の病態は立体的に変化してる。そして、画一的ではないため、しっかりアセスメントする必要がある。

・薬物治療を成功させるために必要な3項目

①外力制御:予防は発症した褥瘡の治療効果が得られる適切な予防を行う。治らない褥瘡は予防が不十分であり、それが動的な病態評価となって現れる。身体や創に対する外力を極力抑制することが予防の基本。

②湿潤調節:創の湿潤環境は画一的な方法で調節することが難しい。基材や薬剤特性を考慮し、病態と浸出液量に見合う湿潤調節を行う。創の薬剤を滞留させ、効果を発揮させるための創固定が必要。

③感染制御:一般細菌だけでなく、真菌に対しての配慮も必要。

・上記の3つを行うため、単剤使用では限界がある

・湿潤状態は病態部位を見るだけでなく、患部を覆っていたガーゼの状態も見る。

服用薬剤の影響も考える。

⇒睡眠剤向精神薬(活動力低下、意欲低下)、鎮痛剤(痛覚低下)、利尿剤(脱水の助長)、経口抗がん剤・キサンチン製剤(悪心・嘔吐・食欲低下)、ステロイド剤(肉芽形成の抑制)、亜鉛キレート製剤(亜鉛欠乏、栄養状態低下)

・褥瘡予防にはマットレスの選択も必須

⇒体圧分散寝具の使い分け:褥瘡発生していない場合はウレタンフォームマットレス等、褥瘡発生している場合はエアマットレス(体重が軽い場合は静止型、重い場合は分散型)

・米国内科学会の褥瘡ガイドライン2015では褥瘡を保有する患者の体圧分散マットレスの選択において、静止型の使用を推奨。圧切り替え型は使用禁止となっている。

・適切なマットレス選択のため、導入時はケアマネなどとの連携も必要となってくる。

・病態は急性期と慢性期でアセスメント方法が異なる

・急性期は短期間で病状が変化するため、出来るだけ毎日、創を観察する必要がある。損傷がどこまで達しているか不明なことが多い。

・慢性期は1~2週間たつと、創が次第に安定し、次第に褥瘡の深さも判明する。

・第Ⅰ度:発赤が起きている状況

・第Ⅱ度:水泡・びらんが形成されてる状況。水泡に血液が混入していることもある。びらんは真皮乳頭層(赤い所に白いポツポツ)が出来てることがある。

・第Ⅲ度:創面に脂肪組織が露出。ポケットが出来ることがある。脂肪組織は半透明な白い部分として現れる。

・第Ⅳ度:筋層・健・骨に及ぶ損傷。真っ白な部分が見えることがある。

DESIGN(重症度用)を治療方針とする。慢性期の評価ツールとして使用。以下のものをなくすor小さくする。

⇒D:深さ E:浸出液 S:大きさ I:炎症・感染 G:肉芽形成 N:壊死組織 P:ポケット

・大量の浸出液は感染や浮腫を伴うことが多いため、浸出液が多い場合は吸水性の高い薬剤やドレッシング剤を使用する。

・吸水性の強さ:ユーパスタ>デブリサンペースト>ヨードコート軟膏>カデックス軟膏

・創を小さくさせる生体反応は①新しい上皮の形成②創の縮小

①にはアクトシン軟膏(吸水性)、プロスタンディン軟膏(保湿性)、リフラップ軟膏+テラジアパスタ(3:7)、各種ドレッシング剤、

②にはアクトシン軟膏(吸水性)、水分含有量を低下させることで創を引き締める。

・感染コントロール為に

①壊死組織の除去 ②洗浄 ③感染に強い薬剤・治療材料を使用 ④髄膜炎などの合併が見られる場合は抗生物質を全身投与

⇒感染に強い薬剤・材料:吸水性ポリマービーズ、ユーパスタ、ゲーベンクリーム、ヨードホルムガーゼ

⇒感染に弱い薬剤・材料:ハイドロコロイドドレッシング剤、オルセノン軟膏、リフラップ軟膏

・肉芽形成のためには壊死組織を除去する必要あり。薬剤はオルセノン軟膏、ユーパスタ、フィブラストスプレー。創の湿潤環境を保ち、肉芽形成を促進させる。

・壊死組織は積極的になくす必要がある。外科的にはデブリードマン、科学的には薬剤・材料の使用。外科的に分界線を浮き出し、科学的に洗浄を図る。

・ポケットは最初に攻める。(ポケットがなくならない限り治らないため)

・ポケットにたるみがある場合は切除しない。張っていて洗浄・ドレナージ・薬剤塗布が行えないときに切除する。

白いのは大体不良性。出来るだけ赤い方向に持っていく。ただし壊死組織なのか残存真皮なのかを見分ける必要がある。

動きにて創が広がることがあるため、テーピング等で創の固定をする必要がある。たるみを作る場合は身体の重みが余りかからない部分でたるみを作る。

 

~褥瘡を治す必須要件~

・褥瘡を見るとき局所だけを見ては褥瘡の治療に必要な情報は得られない。

・基礎疾患などの全身状態を観察し、局所へとズームアップすることで発症原因・過程を把握できるようになる。

・創やその周囲の皮膚をフィジカルアセスメントすることで、外力によって起こる特徴的な病態を確認する。

・外力による動きや変形を抑える手立てする。

・発症要因となる持続性圧迫ずれなどの外力を抑制する。

・体位を適切に補正し、体圧を減衰させたり、ずれによる皮膚のひずみを極力押さえる。

・体圧を適切に分散させるためにマットレスの選択や使い方を理解する。

・外力による影響が創に反映させるため、それを見逃さない。

・外力の影響から創内の薬剤滞留を保持する。

・創の固定は安定した創治癒環境を近づける。

・創傷被覆剤を用いた湿潤環境は患者の自然治癒力を頼りにするため、積極的な治療に至らないことがある。

・湿潤調節は画一的な方法では困難である。

・外用薬の基材特性を利用した湿潤調節は、それぞれの病態に見合った調節を行うことで湿潤調節が可能となる。

・加重部位を特定した上で、体圧分散を行うとともに、安楽な体位を定める。

・創への外力が加わらないための配慮を常に行い、薬剤滞留を保持する。

湿潤状態を適切に保持するために、処置ガーゼ・フィルム剤にて被覆する。

 

とりあえず今回はここまで。

3時間の勉強会で、めっちゃ内容が濃かったから、書いているだけで相当な量になってしまった。

では~ノシ